日本口腔腫瘍学会誌
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シンポジウム2:「そこが知りたい!下顎再建のポイント」
カスタムメイド・チタンメッシュトレーと自家腸骨/脛骨海綿骨骨髄細片による下顎骨再建の臨床的有用性(原著)
濱田 良樹山田 浩之熊谷 賢一中岡 一敏堀内 俊克川口 浩司
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2014 年 26 巻 3 号 p. 78-88

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抄録
本論文では,カスタムメイド・チタンメッシュトレーと自家腸骨あるいは脛骨から採取した海綿骨骨髄細片(Particulate Cancellous Bone and Marrow, PCBM)を用いた下顎骨再建について紹介することを目的とした。また,この再建法を適用した17例の臨床経過をretrospectiveに調査することで,その臨床的有用性について検討した。
手術は全例支障なく終了しており,平均手術時間は452分であった。各患者におけるPCBMの採骨量は十分で,具体的な採骨量は37~113gであった。術後経過は歯科補綴治療も含めて概ね良好であったが,オトガイ部を含む下顎骨欠損を伴う3例で2重構造のトレーを用いた再手術が施行されていた。再手術となった理由は,1例は術後の局所感染により移植骨が多量に失われたためで,残る2例は,初回手術に用いた1重構造のトレーの破折であった。これら再手術後の経過は良好で,以後,著者らは,オトガイ部を含む下顎骨再建の際には,必ず2重構造のトレーを適用している。それ以来,トレーの破折は確認されていない。術後の無痛開口域は平均45.6mmで,日常生活に大きな支障を来していなかった。術後の顔貌については,下顎前歯部の欠損による下唇の内翻,あるいは若干の顔貌の非対称を伴う数例において満足度が低かったが,ほとんどの症例において満足度は高く,左右対称で自然なカントゥアーを有する顔貌を獲得しており,術後の顔貌に対するVASの平均値(全例)は79.8であった。
以上より,今回紹介した下顎骨再建法は,高い予知性を期待することができる臨床的に有用な方法と考えられた。
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© 2014 一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
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