日本口腔腫瘍学会誌
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症例報告
外側咽頭後リンパ節転移に対し同時化学放射線療法が著効した舌扁平上皮癌の1例
遊佐 和之山ノ内 秀之北畠 健一朗吉田 雪絵尾崎 尚橘 寛彦飯野 光喜
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2016 年 28 巻 2 号 p. 21-25

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抄録
舌扁平上皮癌における外側咽頭後リンパ節(ルビエールリンパ節;以下RN)転移はきわめてまれであり,予後は不良である。今回われわれは舌扁平上皮癌のRN転移に対して同時化学放射線療法(concurrent chemoradiotherapy;以下CCRT)が著効した1例を経験したので報告する。
患者は59歳男性。左側舌縁部の疼痛を主訴に当科を受診した。生検の結果は扁平上皮癌で,T2N1M0,stageⅢと診断した。左側選択的頸部郭清術,舌可動部半側切除術および前腕皮弁による即時再建術を施行した。術後4か月の画像検査にて左側オトガイ下リンパ節に転移を認め,左側オトガイ下部および右側肩甲舌骨筋上頸部郭清術を施行した。術後27日目よりシスプラチン(CDDP)の総投与量200mg/m2および2Gy/回で計60Gyの放射線照射によるCCRTを開始した。8Gy照射後のCTおよびPET-CTにてRN転移を認めたため,RNを照射野に含めた。CCRT終了後1か月の画像検査ではRNの不明瞭化を認め臨床治療効果はCRであった。現在,CCRT終了後29か月経過しているが腫瘍の再発,転移等認めず経過良好である。
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© 2016 一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
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