日本口腔腫瘍学会誌
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原著
進行口腔癌に対する逆行性超選択的動注化学放射線療法
―頸部リンパ節転移に対する治療効果―
光藤 健司小泉 敏之飯田 昌樹岩井 俊憲中島 英行小栗 千里廣田 誠來生 知藤内 祝
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2016 年 28 巻 2 号 p. 27-32

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抄録
われわれは頸部リンパ節転移を有する進行口腔癌に対し逆行性超選択的動注化学放射線療法(以下動注CCRT)を施行し,転移リンパ節に対する治療効果につき検討したので報告する。対象は2007年2月から2010年11月までに進行口腔癌(T2-4bN1, 2M0)に対し根治的動注CCRTを施行し,原発巣がCRのため原発は手術回避,頸部郭清術のみを行った20症例である。N分類はN1:5例,N2b:10例,N2c:5例であった。治療は浅側頭動脈,後頭動脈より逆行性に腫瘍の栄養動脈に動注カテーテルを留置し,動注CCRT を5-6週間(docetaxel:total 50-60mg/m2, cisplatin:total 125-150mg/m2, RT:total 50-60Gy)施行した。治療終了後5から8週に頸部郭清術を行い,摘出したリンパ節の病理組織学的検索を行ったところ,転移リンパ節がpCR であったのは20例中13例(65%)であった。その後経過観察中に頸部再発を認めたのは2例(10%)であった。20例中13例は生存,7例が死亡(6例が遠隔転移,1例が頸部の非制御)した。以上より動注CCRTは,口腔癌の頸部転移リンパ節にも有用であることが示唆された。
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© 2016 一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
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