2004年から2013年までの10年間に,岩手医科大学歯学部附属病院第2口腔外科外来を受診し,病理組織学的に口腔領域扁平上皮癌と診断され,根治的治療を行ったOSCCの一次症例150例について,臨床統計学的検討を行った。
対象症例の男女比は1.7:1で男性に多く,平均年齢は65.3歳であった。受診経路は開業歯科医院が46.0%と最も多く,直接来院したのは8.7%であった。病悩期間は,3か月未満に51.3%が分布し,症状は痛みが39.3%と最も多くみられた。発生部位で最も多いのは舌で54.7%であった。
T分類は,Tisが3.3%で,T1が 30.0%,T2が37.3%,T3が5.3%,T4が24.0%であった。N分類は,N0が66.0%で,N1が15.3%,N2が18.7%,N3が0%で,全症例M0であった。Stage分類別にみてみると,Stage 0が3.3%で,StageⅠが28.0%,StageⅡが24.7%,StageⅢが12.7%,StageⅣが31.3%であった。
治療法は,手術療法単独が60.0%であり,放射線療法単独が1.3%,手術療法+化学療法が4.0%,手術療法+放射線療法が2.0%,化学療法+放射線療法が30.0%,手術療法+化学療法+放射線療法が2.7%であった。
Kaplan-Meier法による5年累積生存率は,全体で84.1%であった。
抄録全体を表示