2016 年 28 巻 3 号 p. 103-108
【目的】N分類の問題点を検証することを目的に臨床的検討を行った。【対象と方法】当科を受診した口腔扁平上皮癌一次症例のうち,一次治療として外科療法を選択し,原発巣と同時に頸部郭清術を施行した患者で,術後原発巣再発を認めず,頸部への術前照射を行っていない281例を対象とした。頸部リンパ節の診断には触診・超音波・CT・MRI・PET/CTを用い,頸部リンパ節転移の有無と進展範囲を示す臨床分類(cN)と病理組織学的分類(pN)の一致率,各種診断法の診断精度を検討した。【結果】N分類の診断一致率は全体で60.5%であった。cN1は最も低く30.2%であった。各種診断法のうち特異度が最も高いのは超音波診断で86.3%,感度はPET/CTで74.7%であった。
【結論】各種診断法の特性を組み合わせ,より正確なN診断を行う必要性があると考えられた。