日本口腔腫瘍学会誌
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症例報告
全身および口腔内に多発したカポジ肉腫の1例
野口 一馬川邊 睦記山根木 康嗣高岡 一樹岸本 裕充
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2017 年 29 巻 1 号 p. 15-21

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抄録

カポジ肉腫(KS)は後天性免疫不全症候群(AIDS)患者に併発する代表的な悪性腫瘍であるが,本邦における報告は比較的少なく,特に口腔内にKSが発症した症例は少ない。われわれは口腔内に多発性に生じたKSの1例を経験したので文献的考察を含め報告する。患者は32歳の男性でAIDSと診断され,口腔内合併症の有無と上顎歯肉の無痛性腫瘤の精査を目的に受診した。患者は受診時にHIV-RNA:180,000 copies/ml,CD4は27/μlでAIDSを発症しており,組織生検の結果,カポジ肉腫と診断された。さらに組織内のHHV-8も確認された。AIDSに対するART療法とカポジ肉腫に対するドキソルビシン内包PEGリポソームの投与により治療開始から3年以上,CRを維持している。

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© 2017 一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
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