日本口腔腫瘍学会誌
Online ISSN : 1884-4995
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29 巻, 1 号
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症例報告
  • ―DVTに対する歯科医師の対応について―
    秦 浩信, 佐藤 明, 宮腰 昌明, 吉川 和人, 清水 六花, 林 利彦, 箕輪 和行, 北川 善政
    2017 年 29 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2017/03/15
    公開日: 2017/03/22
    ジャーナル フリー
    口腔癌の血管柄付遊離皮弁再建術後に生じた中心静脈カテーテル関連深部静脈血栓症を2例経験したので報告するとともに,北海道大学病院では2014年7月から「歯科医師のための血栓発見時の対応マニュアル」の運用を行っているので紹介する。
    症例1: 60歳男性。右口底癌cT4aN1M0の診断で,2010年5月に右頸部郭清術,口底悪性腫瘍切除術,前外側大腿皮弁による再建術を施行した。麻酔の導入時に大腿静脈より中心静脈カテーテルが挿入され,術後5日目で抜去した。術前の4月の上部消化管内視鏡検査で早期胃癌が発見されたため,内視鏡的粘膜剥離術を予定し,8月に腹部造影CTを撮像したところ,下大静脈内に7cm長の血栓が認められた。深部静脈血栓症の診断のもと循環器内科の指示でワルファリンカリウムの内服を開始した。2週後の腹部造影CTで下大静脈血栓の縮小を認め,2か月後に血栓の消失が確認された。
    症例2: 69歳女性。左舌癌cT2N0M0の診断で,2014年2月に左頸部郭清術,舌亜全摘術,前外側大腿皮弁による再建術を施行した。麻酔の導入時に大腿静脈より中心静脈カテーテルが挿入され,術後7日目で抜去した。術後1週間でプロスタグランジンE1製剤が原因と考えられる薬剤性肝機能障害を認めたため,腹部超音波検査,腹部造影CTを施行した。その際に,右大腿静脈,右総腸骨静脈~下大静脈にかけて血栓形成が発見され,深部静脈血栓症の診断のもとヘパリンナトリウムを開始した。1週間後の腹部造影CTにて血栓の消失が確認された。
  • 柚鳥 宏和, 岩谷 博篤, 松本 耕祐, 石田 優, 松尾 健司, 橘 進彰, 古森 孝英
    2017 年 29 巻 1 号 p. 9-13
    発行日: 2017/03/15
    公開日: 2017/03/22
    ジャーナル フリー
    近年,局所陰圧閉鎖療法は創傷に対する重要な補助療法の一つとして挙げられているが顎口腔領域での報告は少ない。
    今回われわれは,局所進行舌癌切除に伴う腹直筋皮弁再建症例の術後に生じた瘻孔に対し,局所陰圧閉鎖療法を用いて治癒させたので報告する。術後32か月経過した現在まで再発,転移を認めず経過良好である。
  • 野口 一馬, 川邊 睦記, 山根木 康嗣, 高岡 一樹, 岸本 裕充
    2017 年 29 巻 1 号 p. 15-21
    発行日: 2017/03/15
    公開日: 2017/03/22
    ジャーナル フリー
    カポジ肉腫(KS)は後天性免疫不全症候群(AIDS)患者に併発する代表的な悪性腫瘍であるが,本邦における報告は比較的少なく,特に口腔内にKSが発症した症例は少ない。われわれは口腔内に多発性に生じたKSの1例を経験したので文献的考察を含め報告する。患者は32歳の男性でAIDSと診断され,口腔内合併症の有無と上顎歯肉の無痛性腫瘤の精査を目的に受診した。患者は受診時にHIV-RNA:180,000 copies/ml,CD4は27/μlでAIDSを発症しており,組織生検の結果,カポジ肉腫と診断された。さらに組織内のHHV-8も確認された。AIDSに対するART療法とカポジ肉腫に対するドキソルビシン内包PEGリポソームの投与により治療開始から3年以上,CRを維持している。
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