日本口腔腫瘍学会誌
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原著
口腔扁平上皮癌の原発巣再発に関する臨床病理学的検討
坪井 香奈子黒嶋 雄志吉川 和人佐藤 明北川 善政
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2019 年 31 巻 3 号 p. 143-149

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抄録

当科における口腔扁平上皮癌の原発巣再発症例に関する臨床病理学的検討を行った。2006年から2015年までに根治的手術を行った口腔扁平上皮癌121例を対象とした。121例中原発巣再発は16例(13.2%)に認めた。そのうち14例(87.5%)が24か月以内の再発であった。原発巣再発に関連するリスク因子を検討したところ,単変量解析ではT分類と神経周囲浸潤で有意差を認めた。多変量解析では,神経周囲浸潤(オッズ比: 11.2,95%CI:2.28〜63.4)が独立したリスク因子であった。救済療法は原発巣再発16例のうち12例(75%)に行われた。そのうち9例に救済手術が適応され,7例(78%)が救済可能であった。救済手術症例における原発巣再発後の生存期間中央値は40か月(8.5〜112か月)であった。一方,放射線治療あるいは化学放射線治療を行った3例は,いずれも予後不良であり,原発巣再発後の生存期間中央値は4.9か月(4.8〜11か月)であった。救済療法後の予後に関連する因子を検索したところ,初回治療時のT分類およびstage分類,救済手術が有意なリスク因子であった。したがって,原発巣再発に対する救済療法は,患者の全身状態が手術侵襲を許容可能であれば,手術を考慮するべきと思われた。

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© 2019 一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
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