2019 年 31 巻 3 号 p. 151-156
UICCのTNM分類は,口腔癌の進行度評価の基準として使用されている。2016年に公表された第8版TNM分類では,T分類に浸潤の深さ(DOI),N分類に被膜外進展(ENE)が導入された。そして,われわれは,舌扁平上皮癌の手術症例を対象に,第7版と第8版TNM分類による評価を比較し,後者の実用性を本誌において報告した。さらに,2018年にUICCから正誤表が公表され,T2,T3,T4が訂正された。そこで本研究では,当科で手術を施行した舌扁平上皮癌107例について,正誤表に準拠して改めて検討を行った。
正誤表に準拠して評価すると,1例がT3からT2に,3例がT3からT4aに変更された。第7版と比較すると,後発転移率がT1では低下し,T2では増加したが,第8版とは同様の結果であった。生存率は,第8版と同様に,Tの上昇とともに低下した。また,pTの変更に伴って,pStageが変更されたため,stageの上昇とともに生存率が低下した。
訂正された第8版TNM分類は,進行度に即したTの細分化を舌扁平上皮癌においても実現し,細分化により進行度を的確に後発転移と生存率へ反映させており,実用的であると考えられた。