日本口腔腫瘍学会誌
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シンポジウム4:「口腔表在癌の病理」
口腔細胞診の現状
—口腔癌の早期発見へ向けて—
矢田 直美松尾 拡
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2020 年 32 巻 4 号 p. 207-217

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抄録

口腔癌は本邦において増加しており,最初の治療として外科的切除が選択されることがほとんどで,進行癌になるとQOLが著明に低下する。そのため,口腔癌の早期発見が重要となる。患者への負担が少なく,容易に採取できる口腔擦過細胞診の需要が増えている。細胞診では,細胞採取や標本作製法により細胞判定に影響がでる。近年,液状化細胞診法の普及により細胞採取量や出血や唾液によるアーチファクトが改善されている。細胞診は利点も多いが,スクリーニング検査である限界を理解し,検査を行う必要がある。今回,口腔細胞診を判定する側から,口腔細胞診の採取法から判定までを概説し,九州歯科大学における口腔細胞診の判定と病理組織診断を比較し,有用性と限界について報告する。

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© 2020 一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
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