日本口腔腫瘍学会誌
Online ISSN : 1884-4995
Print ISSN : 0915-5988
ISSN-L : 0915-5988
シンポジウム4:「口腔表在癌の病理」
口腔表在癌・上皮性異形成の診断における免疫染色の有用性と限界,今後の課題
石川 文隆八木原 一博
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 32 巻 4 号 p. 218-228

詳細
抄録

口腔癌の予後を改善するためには,上皮性異形成,上皮内癌などの口腔癌早期病変を確実に診断することが重要である。口腔領域では,刺激や炎症に対する過形成,再生性変化,反応性異型上皮の出現することが多く,特に生検標本では診断に苦慮することがある。このような場合,CK13,CK17,CK19,p53,Ki-67,p40などの免疫染色を行い診断の補助とすることができる。しかしながら,反応性変化であっても腫瘍性病変と同様の染色性の変化がみられることがあるので,免疫染色結果をもとにHE染色標本を再度確認して診断を行うことが重要である。また,臨床経過や臨床所見を確認するとともに臨床医と緊密に情報交換することが正確な診断につながる。

著者関連情報
© 2020 一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
前の記事 次の記事
feedback
Top