抄録
ニボルマブを含む集学的治療が著効した右側下顎歯肉扁平上皮癌を経験したので,その臨床経過の概要を報告する。患者は86歳の男性で,初診時に右側下顎に90×30mm大の弾性硬の疼痛を伴う腫瘤と下唇の知覚異常を認めた。生検によって扁平上皮癌の病理組織学的診断が得られ,化学療法としてセツキシマブとパクリタキセルの併用療法を行った。化学療法によって腫瘍は縮小したが,患者が救済手術を拒否したため,セツキシマブの単独療法を行った。残念ながら,セツキシマブの治療効果はみられず,セツキシマブとパクリタキセルの併用療法を再度行ったが,腫瘍の増大を制御できなかった。そこで,30Gyの緩和的放射線療法に続いてニボルマブ投与を開始した。しかしながら,ニボルマブを3回投与した後に肺野の一部に間質性変化が認められ,間質性肺炎の発症リスクが高くニボルマブの継続投与を断念した。ところが,ニボルマブ中止後4か月で下顎骨腫瘍の完全奏効が得られた。現在,完全奏効を得てから1年8か月が経過しているが,腫瘍の再燃はみられていない。