抄録
紡錘細胞扁平上皮癌は紡錘形細胞を主体とした多形性細胞の増殖を特徴とし,扁平上皮癌の特殊系とされている。われわれは,下顎骨内に発生したと考えられた紡錘細胞扁平上皮癌のまれな症例を報告する。67歳の男性が下顎腫瘍摘出術を受けた(30×15mm大の智歯を含むX線透過性病変)。口腔粘膜に異常所見は認めなかった。摘出組織の病理組織学的診断は紡錘細胞扁平上皮癌であった。その後,追加治療を目的に信州大学医学部歯科口腔外科教室を紹介された。われわれは選択的頸部郭清術,下顎区域切除術および金属プレート,遊離腹直筋皮弁による再建を実施し,補助化学放射線療法を継続して行った。5年経過し,再発所見は認めない。