本研究は,positron emission tomography (PET)/computed tomography(CT)を用いた
18F-fluorodeoxyglucose(FDG)集積の腫瘍内不均一性の主要な2つの評価指標であるheterogeneity index (HI)とheterogeneity factor (HF)について,口腔扁平上皮癌患者における予後因子としての有用性について明らかにすることを目的とした。対象は外科的治療を行った62症例であり,後方視的に解析を行った。術前のPET画像を用いHI,HF,maximum standardized uptake value(SUVM
max),metabolic tumor volume (MTV),total lesion glycolysis (TLG)を算出した。HIは原発腫瘍のSUV
maxをSUV
meanで除する(SUV
max/SUV
mean)ことで算出し,HFは体積-閾値関数の30〜70%の範囲の微分(dV/dT)を求めることで算出した。全生存期間(overall survival:OS),無病生存期間(disease-free survival:DFS)に対してPETおよび臨床病理学的な指標を用い単変量および多変量解析を実施した。
OSでは単変量および多変量解析の結果,HI高値(SUV
meanの閾値はSUV
maxの30%)が予後不良と関連していることが明らかになった[ハザード比(hazard ratio;HR)=11.57;95%信頼区間(confidence interval;CI)=1.45-92.28;
P=0.021]。さらに,DFSに対する単変量解析および多変量解析では,TLG高値(MTVおよびSUV
meanの閾値はSUV
4.0)が予後不良と関連していることが明らかになった(HR=14.48;95%CI=1.27-164.78;
P=0.031)。HIおよびTLGはOSおよびDFSの統計学的に有意な予後因子である可能性が示唆された。
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