日本口腔腫瘍学会誌
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症例報告
造血幹細胞移植後に発生した口腔癌4例と本邦報告例の文献的考察
杉浦 康史林 宏栄土肥 昭博作山 葵大谷津 幸生岡田 成生早坂 純一森 良之野口 忠秀
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2025 年 37 巻 1 号 p. 11-19

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抄録
造血器悪性腫瘍にて造血幹細胞移植(hematopoietic stem cell transplantation:HSCT)を受けた患者は,口腔癌が発生しやすいことが知られている。われわれはHSCT後に生じた口腔癌を4例経験したので,その概要を報告する。さらに本邦において報告された43例に自験例を含めた計47例について文献的に考察した。
自験例4例の造血器悪性腫瘍の内訳は,急性骨髄性白血病2例,骨髄異形成症候群と濾胞性リンパ腫はそれぞれ1例であった。HSCTの内訳は,末梢血幹細胞移植2例,骨髄移植と臍帯血移植はそれぞれ1例であった。HSCT後に慢性口腔GVHDの発症を認めたのは4例中2例であった。口腔癌に対する手術が3例,根治的放射線治療が1例であった。予後は,生存は1例のみで,原発腫瘍死,血液疾患死,他病死がそれぞれ1例であった。
文献的考察の結果,HSCT後に発生した口腔癌は,診断から5年以内に24.2%が死亡しており,再発・転移に加えて口腔内多発癌の発症が11例(33.3%)と多いため厳重な経過観察を要することが示唆された。また,HSCTによる閉塞性細気管支炎等の後遺症や全身放射線照射(total body irradiation)の既往により口腔癌の治療が制限されることが多いため,早期発見,治療が望ましい。
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© 2025 一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
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