日本口腔腫瘍学会誌
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口腔顎顔面領域の悪性腫瘍症例にEpitec systemを使用した顎顔面補綴治療
井原 功一郎後藤 昌昭角田 隆規香月 武
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キーワード: 顎顔面欠損, 顎顔面補綴
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1999 年 11 巻 2 号 p. 113-121

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抄録
口腔顎顔面領域の悪性腫瘍症例の治療後にEpitec systemを用いた顎顔面補綴治療を行った。
Epitec System (LEIBINGER社製, Germany) は, 他の顎顔面用の骨内インプラントとは形状が異なり, 顎骨骨折の治療に用いるチタンプレートから発展したものである。厚さ1mmの格子状チタンプレートを欠損部周囲の骨面に適合させ, 直径2mmのチタン製スクリューで骨に固定する。プレート装着後, 3か月以上経過して, 皮膚または粘膜を貫通するポストを, スクリーピングスクリューを除去した孔にねじ込み, 他端にアバットメントを付けて, 顎顔面補綴物の維持に用いる。
この方法を用いて顎顔面に欠損を有する3例の患者に顎顔面補綴物を装着した。症例1では, 腫瘍の経過も良好で, 顎顔面補綴物の維持安定も良好であった。しかし, 症例2では, 顔面補綴物装着後, 約半年で腫瘍の再発が認められ, チタンプレートの除去を余儀なくされたが, 最小の外科的侵襲で除去が可能であった。症例3では, 腫瘍切除時にプレートを埋入して早期に機能回復を行った。
Epitec Systemは, 骨が薄い場合にでも適用が可能であり, 顔面補綴物を理想的な位置で維持することができる, 埋入や除去の外科的侵襲も小さいことなど, 多くの利点を有している。
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