抄録
1974年から1998年までの間に, 鶴見大学第一口腔外科において130例の下顎 (123例) および上顎 (7例) の再建手術が実施された。これらの症例の原疾患は悪性腫瘍が72例, 良性腫瘍が58例であった。
骨欠損の再建には, 3種類の材料が使用された。これらは57例 (60手術) の血管柄のつかない骨移植 (腸骨58, 肩甲骨2) , 28例 (30手術) の多孔質ヒドロキシアパタイト (HAP) ブロックおよび45例の血管柄付骨移植 (腸骨41, 前腕皮弁と複合の橈骨4) から構成されていた。
血管柄がつかない骨移植で再建された26例の悪性腫瘍症例のうち, 15例で何種類かの大型皮弁により軟組織欠損の再建がなされた。またHAPブロック再建例の11例中3例でPMMC-flap2皮弁と腹直筋皮弁1皮弁が用いられ, 血管柄付骨移植再建例35例中29例にPMMC5皮弁, 前腕皮弁24, およびソケイ皮弁3皮弁が用いられた。
骨欠損を血管柄のつかない骨移植および血管柄付骨移植で再建した症例の半分以上に補綴治療が実施され, そのうち10例にインプラントによる補綴治療が行われた。HAPブロック再建例で補綴治療が実施できたのは1例のみであった。
3種類の再建材料での手術の成功率は, 血管柄のつかない骨移植で86.7%, HAPブロック再建例で66.7%, 血管柄付骨移植で86.7%であった。