日本口腔腫瘍学会誌
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下顎骨内のX線透過性病変から発見された多発性骨髄腫の1例
荒木 正夫橋本 光二西村 敏松本 光彦松本 直行小宮山 一雄
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2006 年 18 巻 1 号 p. 25-32

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抄録

多発性骨髄腫は形質細胞の腫瘍性増殖性疾患で, 孤立性形質細胞腫として診断されるものがみられその後に多発性骨髄腫と進行するものが多い。骨髄腫の発生は40-70歳代に多くみられ40歳以前ではほとんどみられない。多発性骨髄腫は下顎骨では臼歯部, 下顎角部, 上行枝部, 関節頭部にみられることが多い。多発性骨髄腫のX線学的特徴は主に骨融解性を示すが, いろいろな所見がみられるため注意深い鑑別診断が必要となる。頭蓋骨にみられるX線的特徴は多発する骨の打ち抜き像である。われわれは初診時に右側下顎臼歯部にみられた透過性病変に遭遇したが, 他の施設の口腔外科では悪性リンパ腫として診断された。
画像検査の結果, エンハンスCTでは骨破壊部は不均一な膨隆する腫瘍塊として示された。MR像ではT1強調画像で低信号, 脂肪抑制T2強調画像で骨髄と比べて高信号であった。造影MR像では薄く均一に強調されていた。全身の骨シンチグラムでは右側の上腕骨, 大腿骨に集積像がみられた。最終診断は画像診断臨床検査, FACS解析, 免疫学的な病理組織学的診断で多発性の骨髄腫と診断された。

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