日本口腔腫瘍学会誌
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18 巻 , 1 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 梅田 正博, 李 進彰, 石田 佳毅, 中川 直美, 明石 昌也, 大川 修司, 西松 成器, 南川 勉, 古森 孝英
    2006 年 18 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 2006/03/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    エホバの証人は宗教上の理由から輸血を拒否し, 比較的侵襲の大きな手術を予定する際にさまざまな問題を生じる可能性がある。今回われわれは, 2名のエホバの証人患者に口腔癌手術を行ったので報告する。
    症例1は64歳女性の下顎歯肉癌 (T2N2bM0) で, 頸部郭清, 下顎骨辺縁切除を施行した。出血量は300gであった。症例2は50歳男性の舌癌 (T2N2bM0) で, 頸部郭清, 舌半側切除, 大胸筋皮弁移植を施行した。出血量は445gであった。いずれも術前に患者と免責証書を取り交わし, 手術は低血圧麻酔下で行われた。エホバの証人の治療に関する問題点についても考察を行った。
  • 青木 伸二郎, 廣田 誠, 斉藤 友克, 渡貫 圭, 松井 義郎, 藤田 浄秀
    2006 年 18 巻 1 号 p. 7-15
    発行日: 2006/03/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    放射線性下顎骨骨壊死の治療には, 原病巣の治癒状況を考慮しながら骨壊死の進行状態に応じた対処が必要である。今回われわれは, 骨壊死が進行した際に適応される下顎骨区域切除と血管柄付き遊離組織移植術の前段階として, 多血小板血漿 (PRP) の積極的応用と, 新鮮海綿骨骨髄細片 (PCBM) 移植ならびに創外固定を利用した消炎療法を組み合わせた三段階の外科的治療法を考案した。
    対象及び方法: 2002年1月から2004年12月までの間で, 口腔癌11例, 中咽頭癌3例の放射線治療後に発生した放射線性下顎骨骨壊死の計14症例を対象とした。第I段階: 腐骨形成が少なく歯槽骨切除のみの場合には, PRPを露出骨面に置き, 粘膜弁で閉創した。第II段階: 下顎の中心部にまで腐骨切除が及ぶ場合には, PRPに加えてPCBMを移植し, 局所皮弁で閉創した。第III段階: 区域欠損に及ぶ場合には, 創外固定を用いて残存骨の位置を保持しながら軟組織の消炎を待ち, その後に骨移植を行った。
    結果: 第I段階治療後の4例では, すべての症例に露出骨面の減少と疼痛症状の緩解が認められたが, 外側皮質骨の壊死が再発した。第II・第III段階の治療後は良好で, 8例では骨再生が認められた。2例は感染があり, 掻爬あるいは再度骨移植を必要とした。
    考察: 骨壊死治療においては軟組織の消炎と血行改善することが重要と考えられた。その上で, 創外固定を用いた消炎待機は効果的であり, また, PRPは治癒過程に有用であると思われた。
  • 木下 浩二, 西田 光男, 安田 真也, 堀 信介
    2006 年 18 巻 1 号 p. 17-23
    発行日: 2006/03/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    今回われわれは, 下顎歯肉扁平上皮癌が, 一次治療後に舌神経浸潤により頭蓋内まで進展したと考えられた症例を経験した。患者は, 55歳男性で, 初診時, 左側頬部の電撃様疼痛, 左側オトガイ神経領域の知覚鈍麻を認めた。術前放射線治療後に, 腫瘍切除術, 左側全頸部郭清術, 右側顎下部郭清術, 大胸筋皮弁再建術を施行したが, 3か月後MRI画像にて頭蓋内まで進展した腫瘍を認め, 以後, 急速な進展のため4か月後には死亡した。後の病理組織学的検討より, 切除物中枢断端の舌神経東内に腫瘍の存在が確認され, 残存した腫瘍が再発し, 下顎神経に沿って頭蓋内まで進展したものと考えられた。このように, 下顎骨への浸潤傾向が強くオトガイ神経領域の知覚異常を伴う症例の場合, 術前もしくは術後の照射範囲の設定においては頭蓋底を十分に含め, 切除範囲は神経浸潤を考えて, より中枢側へ拡大することが予後改善に肝要であると考えられた。
  • 荒木 正夫, 橋本 光二, 西村 敏, 松本 光彦, 松本 直行, 小宮山 一雄
    2006 年 18 巻 1 号 p. 25-32
    発行日: 2006/03/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    多発性骨髄腫は形質細胞の腫瘍性増殖性疾患で, 孤立性形質細胞腫として診断されるものがみられその後に多発性骨髄腫と進行するものが多い。骨髄腫の発生は40-70歳代に多くみられ40歳以前ではほとんどみられない。多発性骨髄腫は下顎骨では臼歯部, 下顎角部, 上行枝部, 関節頭部にみられることが多い。多発性骨髄腫のX線学的特徴は主に骨融解性を示すが, いろいろな所見がみられるため注意深い鑑別診断が必要となる。頭蓋骨にみられるX線的特徴は多発する骨の打ち抜き像である。われわれは初診時に右側下顎臼歯部にみられた透過性病変に遭遇したが, 他の施設の口腔外科では悪性リンパ腫として診断された。
    画像検査の結果, エンハンスCTでは骨破壊部は不均一な膨隆する腫瘍塊として示された。MR像ではT1強調画像で低信号, 脂肪抑制T2強調画像で骨髄と比べて高信号であった。造影MR像では薄く均一に強調されていた。全身の骨シンチグラムでは右側の上腕骨, 大腿骨に集積像がみられた。最終診断は画像診断臨床検査, FACS解析, 免疫学的な病理組織学的診断で多発性の骨髄腫と診断された。
  • 鈴木 麻美, 濱田 明子, 濱田 良樹, 石井 宏昭, 関谷 秀樹, 瀬戸 〓一
    2006 年 18 巻 1 号 p. 33-38
    発行日: 2006/03/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    両側上顎歯肉に発生した転移性肝細胞癌の1例を経験したので, その臨床経過の概要について報告した。
    患者は, 右上顎歯肉からの出血を主訴に, 博慈会記念総合病院を受診した91歳男性で, 末期の肝癌患者であった。同院耳鼻科にて, 歯肉からの出血に対し, 電気メスで止血を試みるも止血できず, 歯科口腔外科に紹介となった。右上顎臼歯部口蓋側の部分床義歯床縁相当部歯肉に, 暗赤色, 弾性軟の腫瘤を認め, 同部より出血を認めた。また, 匿頬側歯肉に血管腫性エプーリスを思わせる腫瘤を認めた。それぞれの病変に対して, 局所止血を目的に全切除を行い, 病理組織学的検索を行った。その結果, 両者とも中分化型肝細胞癌の病理組織学的診断を得, 肝細胞癌の上顎歯肉転移と診断した。
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