日本口腔腫瘍学会誌
Online ISSN : 1884-4995
Print ISSN : 0915-5988
ISSN-L : 0915-5988
側頭下窩を中心に咀嚼筋間隙を占拠した周辺性エナメル上皮腫に対する手術アプローチ法について
佐野 大輔河原 康渡邉 裕之山田 利治小澤 総喜神谷 祐司
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 20 巻 4 号 p. 283-289

詳細
抄録
われわれは側頭下窩を中心に咀嚼筋間隙を占拠した上顎歯肉原発の周辺性エナメル上皮腫の1例を報告した。
72歳の男性は約半年前から左側上顎歯肉の無痛性腫瘤を自覚していた。口腔内所見では, 腫瘤は左側上顎結節部歯肉を中心に外側は頬粘膜, 内側は軟口蓋まで及んだ。CT, MRI所見では, 腫瘍は上顎洞後壁に接し, 筋突起全周を取り巻くように存在した。上方は頬骨弓を越えて進展し, 内側は翼突下顎隙外側は咬筋前縁まで及んだ。生検によって周辺性エナメル上皮腫と診断された。腫瘍は片側頭皮冠状切開と経頬的アプローチを併用して切除された。
本手術方法は側頭下窩を中心とした咀嚼筋間隙に対して, 良好な術野を確保でき, 確実な原発巣の切除が可能であった。術後の審美的および機能的障害も少なく, 満足される結果を得た。
著者関連情報
© 日本口腔腫瘍学会
前の記事 次の記事
feedback
Top