日本口腔腫瘍学会誌
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初回手術から40年経過した再発性エナメル上皮腫の1例
玉城 廣保山田 博基藤本 和久高橋 洋平
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1991 年 3 巻 1 号 p. 70-78

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抄録
われわれは初回手術から40年経過した再発性エナメル上皮腫症例を経験し, 下顎骨半側切除と広範囲皮膚切除を合せて行い, 生じた頬部欠損に対しD-P (deltopectoral) 皮弁による即時再建を施行したので報告した。患者は65歳女性で, 40年前に右下顎腫瘍の診断で切除術を受けた。その後15年を経て再発が認められ放射線治療がなされていた。初診時, 右下顎部皮膚に潰瘍を伴った6.5×5.8cm大の腫瘤が認められた。口腔内にも4.0×2.5cm大の潰瘍が形成されていた。X線写真では右下顎角部に鵞卵大の多胞性骨吸収像が観察され, 病的骨折を伴っていた。組織検査の結果はエナメル上皮腫で悪性像はみられなかった。切除手術に際し, 予めD-P皮弁を作製した。皮弁の裏面には大腿部より採取した中間層皮膚を遊離植皮した。手術は切除手術をはさんで計3回施行, 術後経過はともに良好であった。開口障害, 嚥下障害, 構音障害などはみられなかった。切除物は充実性で, その重量は1149であった。切除物の組織学的所見は生検の結果と同様であった。組織型は基本的にはplexiform typeで, 悪性所見はみられなかった。再建した頬部の植皮片は口腔内外ともに生着している。術後6年6ヵ月が経過しているが, 今のところ再発は認めていない。
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