日本口腔腫瘍学会誌
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3 巻 , 1 号
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  • 林 升, 本田 武司, 神田 登, 望月 在秀, 冨屋 栄祐, 古本 克磨, 林 透
    1991 年 3 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    Nude mouseに皮下移植したヒト口底癌 (中分化型扁平上皮癌) に対するOK―432の効果を三種の投与経路で検討した。OK―432の投与は隔日に総量5KE/kgを10日間, 腹腔内・皮下・腫瘍内投与の方法で行った。腫瘍の増殖は, その径を隔日に計測し, これより算出した推定重量で検討した。Nude mouseは最終投与日8日後に屠殺し、腫瘍の組織学的検索を行った。
    腫瘍はOK―432の投与群のいずれにおいても, 対照群に比し増殖抑制効果がみられたが, 腫瘍内投与での効果がわずかに高かった。組織学的検索では、対照群においては癌組織は胞巣形成を示しながら増殖し, 間質の炎症細胞反応は少ないのに反し, 腫瘍内投与群では胞巣中心部に壊死を伴い, 種々の炎症細胞反応を伴っていた。他の群では変性, 壊死性変化は著明ではなかった。腹腔内投与によるOK―432の効果の機序は不明であるが, 薬剤効果判定の検討には, その投与経路が重要である。
  • 島原 政司, 小野 克己, 橋口 範弘, 仙田 順子, 嶋村 卓夫, 本家 朋子, 東沢 佐登史
    1991 年 3 巻 1 号 p. 9-17
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    Magnetic Resonance Imaging (以下MRI) はCTに比べ、軟部組織のコントラスト分解能に優れ, 造影剤を使用せず血管構造を把握でき, 3次元方向の任意の断層面での撮像が可能であり, また, CTのごとく頭蓋底の骨や, 含気腔周囲の骨などからアーチファクトがないといわれている。これらのことは耳下腺腫瘍診断には, きわめて有用であると考えられる。今回著者らは3症例の耳下腺腫瘍摘出を経験したので, そのMRI所見にっき検討を加えるとともに, 健側正常耳下腺の観察も併せおこなった。その結果は以下のごとくである。
    (1) 腫瘍の周囲組織との判別も含め、解剖学的位置関係はそれぞれの像を総合的に, また, 3次元方向よりの所見より, 正確に判断することができた。
    (2) 下顎後静脈は全例水平断像では判別可能であった。静脈の位置のみより浅葉および深葉にたいする腫瘍の位置を正確に判断できたのは3症例中1症例であった。
    (3) 良性, 悪性の特徴は腫瘍の形態および内部構造からは判定できなかった。
  • 瀬川 清, 福田 喜安, 青村 知幸, 八木 正篤, 斎藤 善広, 横田 光正, 大屋 高徳, 工藤 啓吾, 藤岡 幸雄, 坂巻 公男
    1991 年 3 巻 1 号 p. 18-25
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    頬粘膜進展癌の2例に対し温熱療法を組み入れた集学治療を施行し, 良好な経過を辿っているので報告する。
    症例1: 61歳, 男性。高分化型扁平上皮癌 (T3N2bM0) で, 治療はPM療法5クール (PEP1回2.5mg計72.5mg, MMC1回10mg計50mg) , 60Co36Gy, 温熱療法を頬部に5回, 頸部に6回, OK-432を総量44.5KE投与し, 左側全頸部郭清, 腫瘍切除, D―P皮弁による頬部全層欠損の即時再建術を施行した。症例2: 69歳男性, 高分化型扁平上皮癌 (T4N2bM0) 。右側浅側頭動脈を用いてCDDP150mg, PEP70mg, 5-FU1回125mg計2000mgを動静注し, 60Co照射を頬部, 頸部にそれぞれ40.5Gy, 60.5Gy併用した。さらに温熱療法を頸部に9回併用し, OK-432を術前に総計40.4KE投与した。1988年6月7日, 右側全頸部郭清, 腫瘍切除, 植皮術を施行した。
    初診より4年と2年7か月経過した現在、再発・転移なく経過良好である。2例とも重大な合併症も無く, 予定の化学療法, 放射線療法が施行でき, 根治的手術が可能であったことが良好に経過している要因と考えられた。
  • 砂川 元, 山城 正宏, 金城 孝, 新崎 章, 津波古 判, 喜舎場 学, 我那覇 宗教
    1991 年 3 巻 1 号 p. 26-32
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    Induction chemotherapyの後に, 外科手術を施行した歯肉扁平上皮癌10例について臨床病理学的検討を行った。これら対象10例のinduction chemotherapyは, Bleomycin (BLM) , Methotrexate (MTX) , Cisplatin (CDDP) のいずれか単独あるいは併用により行われた。
    初診時の各症例の臨床所見および病理組織学的所見から評価した臨床病理学的悪性度を求め, induction chemotherapyによる臨床的抗腫瘍効果との関連を検討したところ, かなり高い関連性が認められた。その結果, induction chemotherapy後の手術は, 各症例の臨床病理学的悪性度の程度に応じて切除範囲を決定できることが示唆され, 良好な手術結果ならびに治療成績が得られた。すなわち, 歯肉癌症例の臨床病理学的悪性度を評価し, 悪性度に応じたinduction chemotherapyおよび手術法を考慮することにより治療成績が向上するものと考えられた。
  • 波多野 達朗, 大関 悟, 長田 哲次, 笹栗 正明, 谷 龍治, 大部 一成, 田代 英雄
    1991 年 3 巻 1 号 p. 33-39
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    末期癌患者の癌性疼痛への対応はターミナルケアにおいて最も重要な問題である。当科においてこれまでに行ってきた鎮痛法を振り返り, 特にモルヒネの定時内服投与を行った症例についてその効果と問題点について検討を行った。
    1979年から1990年までの12年間に当科で死亡した口腔悪性腫瘍患者は53例で, このうち37例 (70%) に強度癌性疼痛がみられた。37例の除痛法として麻薬性剤や麻薬拮抗性剤の注射を行ったもの9例, 麻薬性剤の定時内服投与を行ったもの28例で, このうちリン酸コデインで管理できたものが6例, 塩酸モルヒネの内服投与を行ったものは22例であった。モルヒネの定時内服投与22例の鎮痛効果は完全10例 (45.5%) , 有効4例, やや有効4例, 不良4例であった。
    効果不良の原因として, モルヒネの投与開始の遅れ, 適切量の調整ができなかったこと, 投与間隔の誤り, 副作用の対応が不十分, モルヒネについての誤った概念や過度の恐怖など, 医師のモルヒネに対する知識不足に起因することが明らかとなった。これらの問題点はモルヒネに代表される鎮痛薬の正しい知識を持ち, WHO癌疼痛治療法の基本原則を守ることで解決できるものと思われた。
  • 桐田 忠昭, 岡本 雅人, 堀内 敬介, 増田 達雄, 望月 光治, 堀内 克啓, 杉村 正仁
    1991 年 3 巻 1 号 p. 40-48
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    我々は口腔癌に対して, CDDP+PEPと放射線の同時併用療法 (CP+R療法) について, その効果と共にCDDP+MTX+PEP (CMP療法) 単独施行症例との比較をも含めて, 考察を加え報告した。
    対象は1986年より1989年までの口腔癌一次症例のうち, CMP単独施行症例9例 (男8例, 女1例) とCP+R施行症例12例 (男10例, 女2例) で, 年齢は43~74歳, 組織型は全例扁平上皮癌であった。部位別およびTNM分類では, 舌5例 (T25例) , 口腔底7例 (T23例, T33例, T41例) , 歯肉8例 (T22例, T46例) および頬粘膜1例 (T41例) で全例M0であった。
    臨床的効果における治療奏効度はCMP単独ではCR3例, PR2例, NC3例, PD1例で有効率56%, CP+RではCR6例, PR5例, NC1例, PDO例で92%となり, 放射線併用療法群では効果が高く, 特にCR率は, CP+R群では50%と高率になり, 又これはCP2Kur, 照射40Gy施行例に認められた。組織学的効果についても, CMP群の有効率43%に比し, CP+R群では有効率80%となり高い効果が得られ, そのうちGrade III以上の著効例が75%を占めた。組織学的悪性度に関しては, 16点以上の高悪性度群に対してCMP群では無効例が多かったが, CP+R群では低悪性度群だけでなく高悪性度群に対しても, 十分効果が期待できる結果であった。両療法とも副作用は一過性で, 重篤なものはなく, 臨床的および組織学的奏効度からみても, CP+R療法は非常に有用であると考えられた。しかし, 頸部リンパ節への効果は未だ満足できるものでなく, その制御には手術に勝るものはないと考えられた。
  • 倉科 憲治, 峯村 俊一, 田村 稔, 砂田 修, 栗田 浩, 小谷 朗, 武田 進
    1991 年 3 巻 1 号 p. 49-56
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    1965~1989年の24年間に信州大学医学部歯科口腔外科において治療された悪性唾液腺腫瘍の30例について臨床統計学的検討を加えた。
    患者は男性16名, 女性14名よりなり, 大唾液腺腫瘍は11例 (耳下腺6例, 顎下腺5例) , 小唾液腺腫瘍は19例 (口蓋14例, 頬粘膜3例, 口底1例, 舌1例) で, 一次症例が24例, 二次症例が6例であった。
    病理学的には13例が腺様嚢胞癌, 10例が多形性腺腫内癌腫, 3例が粘表皮癌, 2例が扁平上皮癌, さらに2例がその他の腺癌と診断された。初診時の臨床症状としては無痛性の腫脹が最もよくみられ (23/24) , 潰瘍形成, 疼痛, 硬結, 開口障害, 神経麻痺などの悪性病変を示唆するような症状はまれであり, また進展例で認められるのみであった。
    80%の症例で外科的切除が行われ, 切除のみが16例, 放射線併用が2例, 化学療法併用が3例, 両者を併用したもの3例であった。
    二次症例6例について初回治療から当科初診までの期間をみると2年から37年 (平均12.2年) に渡り, 悪性唾液腺腫瘍においては長期間の経過観察の必要性が示唆された。
    1990年12月の時点で治療成績は生存16例, 原病死8例, 他病死2例, 不明4例であった。生存例の内訳は多形性腺腫内癌腫8例, 腺様嚢胞癌6例, 粘表皮癌2例であったが腺様嚢胞癌の内3例では遠隔転移あるいは再発が認められている。治療成績は多形性腺腫内癌腫において良好であり腺様嚢胞癌で不良であった。また, 大唾液腺に比べて小唾液腺の方が良好であった。
  • 紺田 敏之, 小野 克己, 島原 政司, 岸本 幸彦
    1991 年 3 巻 1 号 p. 57-63
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    患者は緑内障のため5年間にわたり, ステロイド剤を連日服用し, 右側下唇のしびれ感を主訴として来院した。初診時のパノラマX線診査では, 顎骨に広範な骨粗鬆症変化をきたした以外には左右差は認めず, 悪性腫瘍を思わせる骨破壊像は認めなかった。また, 全身的に初診時のスクリーニング検査でも異常は認められず, 当初はステロイド剤により誘発された非定形的な慢性下顎骨骨髄炎を疑い, 治療を開始した。しかし症状の改善がみられなかったため, 腫瘍性疾患の可能性も考慮し, 生検を施行した。病理組織学的診断の結果は扁平上皮癌であった。入院後の精査により, 肺および肝臓にも多発性の癌性病巣を認めたため, 手術非適応との判断のもと, 抗癌剤による化学療法を行なうも, 増悪の一途をたどった。歯肉粘膜には異常所見は認められなかったが, 右側下顎部の腫脹は反対側にまで波及し, さらに残存歯歯肉縁より出血を来し, 初診より7ヵ月後に死亡した。
    今回の症例を経験し, ステロイド剤の服用患者で骨粗鬆症を併発し, 下顎骨中心性に発育した癌という, 複雑な条件の重なりあった症例であったことから, 診断に難渋し, かかる条件下での炎症性疾患と悪性腫瘍性疾患の鑑別診断の難しさを改めて痛感した。
  • 玉城 廣保, 山田 博基, 藤本 和久, 高橋 洋平
    1991 年 3 巻 1 号 p. 64-69
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    われわれは下顎歯肉に発生した色素性母斑の1例を経験し報告した。患者は27歳の女性で, 初診は1986年3月27日, 主訴は左下顎歯肉の小腫瘤である。腫瘤の大きさは8×8mm大でドーム状を呈し, 顆粒状の褐色斑が混在していた。腫瘤の増大傾向はみられず, 同年3月31日, 局所麻酔下で腫瘤を切除した。組織学的には胞体の明るい母斑細胞からなる細胞巣が観察された。母斑細胞は類円形細胞が主体で紡錘形のものを含み, 一部の母斑細胞群はjunctionalに増生していた。S-100蛋白に対し, 母斑細胞はつよい抗原性を示した。確定診断は色素性母斑 (複合型) であった。術後経過は良好で4年が過ぎているが, 今のところ再発は認めていない。
  • 玉城 廣保, 山田 博基, 藤本 和久, 高橋 洋平
    1991 年 3 巻 1 号 p. 70-78
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    われわれは初回手術から40年経過した再発性エナメル上皮腫症例を経験し, 下顎骨半側切除と広範囲皮膚切除を合せて行い, 生じた頬部欠損に対しD-P (deltopectoral) 皮弁による即時再建を施行したので報告した。患者は65歳女性で, 40年前に右下顎腫瘍の診断で切除術を受けた。その後15年を経て再発が認められ放射線治療がなされていた。初診時, 右下顎部皮膚に潰瘍を伴った6.5×5.8cm大の腫瘤が認められた。口腔内にも4.0×2.5cm大の潰瘍が形成されていた。X線写真では右下顎角部に鵞卵大の多胞性骨吸収像が観察され, 病的骨折を伴っていた。組織検査の結果はエナメル上皮腫で悪性像はみられなかった。切除手術に際し, 予めD-P皮弁を作製した。皮弁の裏面には大腿部より採取した中間層皮膚を遊離植皮した。手術は切除手術をはさんで計3回施行, 術後経過はともに良好であった。開口障害, 嚥下障害, 構音障害などはみられなかった。切除物は充実性で, その重量は1149であった。切除物の組織学的所見は生検の結果と同様であった。組織型は基本的にはplexiform typeで, 悪性所見はみられなかった。再建した頬部の植皮片は口腔内外ともに生着している。術後6年6ヵ月が経過しているが, 今のところ再発は認めていない。
  • 佐藤 健一, 瀬川 清, 福田 喜安, 山口 一成, 長 浩臣, 奈良 栄介, 藤岡 幸雄, 武田 泰典
    1991 年 3 巻 1 号 p. 79-82
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    今回われわれは, 硬口蓋部に生じたverruciform xanthomaの1例を経験したので, その概要を報告する。患者は, 46歳の男性で, 約1年前より口蓋粘膜の粗造感に気づいていた。口腔内所見では右側上顎大臼歯部の口蓋側粘膜に, 境界が明瞭で, 表面が細顆粒状を呈する15×12mmの淡黄色隆起性の病変が認められた。その他, 異常所見は認められなかった。生検を施行した結果, verruciform xanthoma (乳頭型) の病理組織診断がえられ, 局所麻酔下に切除した。病理組織所見では, 角化亢進を呈する粘膜上皮が乳頭状に増生するとともに, その基底脚はほほ均等に下方に伸長していた。基底脚間には泡沫細胞が多数散見され, また, ところによっては泡沫細胞周囲に線維化あるいは硝子化が種々の程度みられた。術後2年6ヵ月経過したが再発は認められない。
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