日本口腔腫瘍学会誌
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温熱療法を併用した上顎洞原発腺様嚢胞癌の1治験例
山崎 康之嶋田 淳冲津 光久竹島 浩島崎 貴弘阪本 栄一山本 美朗
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1992 年 4 巻 1 号 p. 93-100

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抄録

腺様嚢胞癌は, 他の悪性腫瘍に比べ局所浸潤性が強く, 再発, 転移を生じやすいという臨床的特徴を有するため予後不良とされている。本腫瘍の治療に関しては, 放射線感受性が低く, また化学療法も効果が少ないため外科的完全切除が好ましいとされている。そのため, 切除の難しい進展症例では, 明確な治療が確立されていない。
一方, 悪性腫瘍に対する温熱療法が, 最近注目されている。この治療法は, 単独での抗腫瘍効果と同様, 放射線治療, 化学療法との相乗効果があり, 特に腺癌で著明である。
今回, われわれは, 上顎洞に充満した大きな腺様嚢胞癌に対し, 放射線治療, 化学療法, 外科的切除に加え温熱療法を用いた集学的治療を行い, 経過良好である1例を報告する。

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