日本口腔腫瘍学会誌
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歯槽骨浸潤を示した周辺性エナメル上皮腫の1例
河野 憲司水城 春美柳澤 繁孝清水 正嗣西林 雄二
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1992 年 4 巻 1 号 p. 88-92

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抄録
37歳女性に発生した周辺性エナメル上皮腫の1例を経験したので, 若干の文献的考察とともにその概要を報告する。患者は某歯科医院にて34舌側歯肉の腫瘍切除を受ける約6ヵ月前に, 同部の腫瘤を自覚したが, 症状および増大傾向がないため放置していた。腫瘍は1.2×1.2×0.5mmの大きさで半球状を呈し, 硬さは弾性軟で, 健常粘膜で被覆されていた。X線的に腫瘍相当部の歯槽骨は不透過性の亢進を示し, 一部に骨吸収像を認めた。切除腫瘍組織は病理学的にエナメル上皮腫と診断された。切除時, 肉眼的に歯槽骨の吸収があり, また組織学的に切除断端に腫瘍細胞が認められたため, 当科にて腫瘍域を含め345歯槽骨部分切除術が行われた。切除骨の組織学的検査の結果, 4舌側歯槽骨の骨髄腔に少数の腫瘍胞巣を認め, 一部は4舌側歯根膜まで浸潤していた。
現在, 術後約11ヵ月が経過しているが再発等の異常所見は認めない。
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