抄録
多形性腺腫は唾液腺の中では一般的な腫瘍である。大唾液腺, 特に耳下腺にしばしば発生する。小唾液腺においては, 普通は口蓋に発生し, 口唇の発生は比較的まれである。上唇に発生した多形性腺腫の3例を報告した。それらは, 境界明瞭で可動性であり, 局所麻酔下に容易に切除できた。再発は認めなかった。病理組織学的に多形性腺腫と診断された。日本語文献上われわれが渉猟しえた限りでは, 小唾液腺腫瘍919例のうち上唇多形性腺腫は39例 (4.2%) であった。口唇の術後の変形や機能障害が起こることを考慮して安全域を設定する必要がある。