日本口腔腫瘍学会誌
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頭頸部悪性腫瘍の原発部・頸部制御例における遠隔転移23例の検討
―臨床経過と背景因子について―
野谷 健一半沢 元章佐藤 明福田 博
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1995 年 7 巻 2 号 p. 83-90

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抄録

原発部と所属リンパ節 (局所) が制御された頭頸部の悪性腫瘍287例では, 23例 (8.01%) に遠隔転移が発現した。扁平上皮癌症例では頸部リンパ節転移の発現と強く関係していた。この23例についてretrospectiveな検討を行った。23例の臨床的特徴は, 口底, 扁平上皮癌, 進展例, 集学的治療がなされた症例に多かった。扁平上皮癌は唾液腺癌や非上皮性悪性腫瘍に比べ遠隔転移の出現が早かった。また, 遠隔転移確認後の生存平均期間も扁平上皮癌症例が他に比べて短かった。転移部位では肺, 骨, 肝が多く, 原発巣の組織型に違いはなかった。5年累積生存率は, 全例で13, 0%, 扁平上皮癌が6.7%, 唾液腺癌が33.3%, 非上皮性悪性腫瘍が40.0%であった。
遠隔転移は致死的であるので, 遠隔転移のhigh risk groupを予測し, riskの高い症例に対しては, 遠隔転移が発現する以前に, 局所療法に加えて補助的治療を行うことが有効と思われる。

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