日本口腔腫瘍学会誌
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放射線誘発と思われた口腔癌の3症例
石部 幸二大月 佳代子大西 正俊
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1995 年 7 巻 3 号 p. 185-192

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抄録
放射線誘発と思われる口腔癌の3症例を経験したので報告する。
症例1: 73歳, 女性。1976年2月, 他院で右下顎横紋筋肉腫の診断下, X線外照射50Gy, 腫瘍切除術, 下顎骨区域切除術を施行された。1993年10月, 左下顎歯肉にしみる感じがあり当科を受診。左下顎臼歯部歯肉に約25×9mmの易出血性の潰瘍が認められ, 生検で扁平上皮癌の確定診断を得た。入院下にランダ60mg投与, Ir線源を用いた腔内照射40Gyを施行し, 腫瘍は消失, 現在再発, 転移なく経過観察中である。
症例2: 52歳, 男性。1967年6月, 他院で左舌扁平上皮癌の診断下, 外照射と組織内照射を施行。
1994年9月, 右下顎臼歯部歯肉の疼痛を主訴に当科に来院した。右下顎歯肉に約35×20mmの肉芽型の病変を認め, 生検で扁平上皮癌との確定診断を得た。本人の強い希望により外来通院下での放射線治療を施行したが, 24Gy照射後口内炎による疼痛のため放射線治療を拒否, 以後本人の希望により自宅療養中である。
症例3: 74歳, 男性。1977年1月, 他院にて口底部扁平上皮癌の診断下, X線外照射25Gy, Augrain組織内照射約100Gy施行。1994年7, 月, 下顎歯肉の違和感を主訴に当科を受診した。前歯部下顎歯肉に約33×20mmの潰瘍を認め, 生検で扁平上皮癌の確定診断を得た。1994年8月, 下顎歯肉腫瘍切除術, 下顎骨部分切除術, D-P皮弁による再建術を施行した。現在再発, 転移なく経過観察中である。
今回の3症例では酒井らの確信度分類によると症例1はA-1, 症例2はB-1, 症例3はB-2であった。
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