日本口腔腫瘍学会誌
Online ISSN : 1884-4995
Print ISSN : 0915-5988
ISSN-L : 0915-5988
口腔粘膜におけるルゴール染色の応用に関する研究
―粘膜および病変の染色性および染色機序について―
栗田 浩倉科 憲治小谷 朗
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 7 巻 4 号 p. 319-325

詳細
抄録
口腔粘膜において歯科用ヨードグリセリン液を用いたルゴール染色を応用し, 各種粘膜の染色性, および, 染色機序の検討を行った。結果は以下のとおりである。
1.正常非角化上皮はルゴール染色陽性を示し, 正常角化上皮はルゴール染色陰性を示した。
2.悪性病変および悪性化の可能性を秘めた病変は全てルゴール陰性を示した。
3.非特異性炎症病変は, ルゴール染色における染色性は一定ではなかった。
4.ルゴール染色陽性を示した上皮では豊富なグリコーゲンが観察され, 一方, ルゴール染色陰性を示した上皮ではほとんどグリコーゲンは存在しなかった。
5.ルゴール染色性と上皮の角化度との, 明確な関連は認めなかった。
以上の結果から, すべての口腔粘膜悪性病変および異型上皮はルゴール染色により非染色域として検出されると結論された。また, 染色機序は上皮内グリコーゲンと関連があると考えられた。
著者関連情報
© 日本口腔腫瘍学会
前の記事 次の記事
feedback
Top