日本口腔腫瘍学会誌
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食道癌発生後, 6年間に口腔粘膜の4カ所から発生した多発癌の1症例と文献的考察
岡本 圭一郎和田 健原田 昌和川島 稔弘井辺 弘樹森田 展雄坂本 忠幸
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キーワード: 口腔多発癌, 食道癌, 異時性
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1995 年 7 巻 4 号 p. 354-358

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抄録
食道癌発生後, 口腔粘膜の4ヵ所から発生した多発癌の1例についてその概要を報告し, さらに口腔多発癌について若干の文献的考察を加えた。症例は食道, 下顎歯肉, 軟口蓋, 舌の2ヵ所に発生し, いずれも組織学的に扁平上皮癌であった。食道癌は放射線療法, 外科療法が某外科で行われ, 口腟癌については当科にて化学療法, 外科療法を主体として行い現在まで良好な経過をたどっている。今後, 増加が予想される口腟多発癌の取扱方法としてQOLの観点から, 1) 外科的切除量を最小限にするため術前化学療法, 等を効果的に用いることで縮小手術を行い, 顎口腔機能の低下を可能なかぎり抑制する。2) 口腟癌と重複することが多いとされる上部消化管の精査を行い重複癌の早期発見を行う。3) 喫煙, 飲酒等の発癌危険因子の制限を含めた患者の日常生活指導を行うなどの必要があることが考えられた。
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