日本口腔腫瘍学会誌
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口腔扁平上皮癌T1, T2における細胞診の検討: 正診率向上のための一工夫
楠川 仁悟内山 睦美亀山 忠光横山 俊郎
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1996 年 8 巻 2 号 p. 94-100

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抄録

擦過細胞診は悪性の疑いがある病変の早期の診断に有用であるが, われわれの以前の細胞診に関する検討では, T1あるいは白板型での細胞診は, T2-4病変や外向型あるいは内向型病変ほど信頼性が高くなかった。正診率向上のために歯間ブラシを使用した検体採取を行った。これら口腔扁平上皮癌T1, T2の51症例の細胞診について臨床細胞学的に検討した。
歯間ブラシの応用により, T1病変での正診率は76.1%から94.4%へと向上し, これは特に, Class IV/Vが43.5%から77.8%へと有意に改善したことによる。歯間ブラシを応用した擦過細胞診は, 口腔・口咽頭悪性病変, 特にexcisional biopsyにより治療されうるT1, T2病変の早期診断の補助に簡便かつ有効な技法である。

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