日本小児アレルギー学会誌
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第45回日本小児アレルギー学会シンポジウム1 新生児・乳児消化管アレルギーの臨床と病態
乳児早期消化管型牛乳アレルギーにおけるアレルゲン特異的リンパ球刺激試験(ALST)の有用性
木村 光明
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2009 年 23 巻 1 号 p. 25-33

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抄録
授乳開始後に嘔吐や血便,下痢などの消化管症状が出現し,牛乳調整粉乳の除去・負荷試験が陽性の乳児では,大半(>95%)が牛乳アレルゲン特異的リンパ球刺激試験(ALST)が陽性である.したがって,本疾患の主要な病態は細胞依存性牛乳アレルギーと考えられる.われわれは,臨床所見と牛乳 ALST 陽性を満たす症例を乳児早期消化管型牛乳アレルギー(ICMA)と定義し,詳細に分析した.ICMA 患者では,カゼインの中ではκ-カゼインに対する反応が最も強く,乳清蛋白の中ではβ-ラクトグロブリンのみならず,α-ラクトアルブミン(ALA)にも強い反応を示すなど,即時型食物アレルギーとは異なる特徴が認められた.ICMA は母乳栄養児にも発生する.その原因を調べるため,ヒトの ALA に対する ALST を測定したところ,一部の患者では強い陽性反応がみられた.現在ヒト ALA に対する強い反応性と ICMA 発症との関係について研究中である.
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© 2009 日本小児アレルギー学会
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