抄録
乳児アトピー性皮膚炎おける皮膚黄色ブドウ球菌の役割を明らかにするために,われわれは千葉市乳児健診において,全乳児のアトピー性皮膚炎の有無および重症度の診断とともに,頬部皮膚黄色ブドウ球菌の培養を行い,生後4か月より1歳6か月,3歳まで追跡した.4か月および1歳6か月において,黄色ブドウ球菌の皮膚への定着はアトピー性皮膚炎の重症度と関連していた.また,4か月および1歳6か月のアトピー性皮膚炎のない児において,黄色ブドウ球菌の定着は後の発症に関連していた.これらの結果は黄色ブドウ球菌の皮膚定着は乳児におけるアトピー性皮膚炎の重症化だけでなく発症にも関与し,黄色ブドウ球菌の皮膚定着防止が乳児アトピー性皮膚炎発症予防の有力な手段となりうることを示唆している.