日本小児アレルギー学会誌
Online ISSN : 1882-2738
Print ISSN : 0914-2649
ISSN-L : 0914-2649
第46回日本小児アレルギー学会シンポジウム4 喘息と気道感染の接点
RSウイルス感染と喘息発症
―RSV感染とSOCS発現について―
橋本 浩一川崎 幸彦細矢 光亮
著者情報
キーワード: RSV, 喘息, SOCS
ジャーナル 認証あり

2010 年 24 巻 1 号 p. 61-70

詳細
抄録

Respiratory Syncytial Virus (RSV)はパラミクソウイルス科,ニュ-モウイルス属のエンベロープをもつマイナス1本鎖のRNAウイルスである.疫学研究よりRSVによる下気道感染症と喘鳴性疾患との関連が示唆されてきた.ウイルス感染後の喘鳴性疾患の発症機序は宿主側因子-ウイルス側因子の相互作用(Gene-Virus Interaction)によると考えられている.JAK/STATシグナルの負のフィードバック機構の1つとしてSOCS (suppressor of cytokine signaling)ファミリーがある.我々のヒト喉頭癌細胞株HEp-2細胞を用いたRSV感染後のSOCS mRNA発現の検討では,感染の極初期にSOCS1,SOCS3,CISの発現誘導が観察された.今後,免疫細胞,気道を構成する各種細胞におけるSOCS発現を検討することにより,RSV下気道炎後の反復性喘鳴や小児喘息発症の病態が明らかになることを期待される.

著者関連情報
© 2010 日本小児アレルギー学会
前の記事 次の記事
feedback
Top