抄録
吸入ステロイドの導入によって小児の気管支喘息(喘息)管理は飛躍的に改善したが,乳幼児の喘鳴/喘息発作による入院はさほど減少していない.小児の喘鳴/喘息発作にはウィルス感染症の関与が大きく,80~90%を占めるといわれており,中でもライノウィルス(RV)が増悪因子としても,発症の予測因子としても重要である.我々の施設では喘息発作入院例を対象にPCR法を用いて多種類のウィルスを同時検出,検討している.2009年7月から10月までの結果は,症例全体でウィルス検出率は52%.そのほとんどがRVであり,RVのみで45%検出された.またRVは喘息発症予測因子としても重要でRSウィルスよりも重要との報告もある.ウィルス感染に伴う喘鳴の治療については確立していないと思われ,ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)の短期投与やステロイド薬の効果もさほど有効な結果は得られていない.ウィルス感染を契機とした喘鳴の治療には課題を残しており今後の検討が期待される.