日本小児アレルギー学会誌
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原著
嚥下障害により喘鳴が認められた児の気道過敏性の推移
林 大輔小田嶋 博漢人 直之村上 洋子手塚 純一郎本村 知華子岡田 賢司柴田 瑠美子西間 三馨
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2010 年 24 巻 2 号 p. 225-230

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抄録
背景 嚥下障害が原因である難治性乳児喘鳴では嚥下障害に対する治療・介入が有効な場合がある.このときの治療前後の気道過敏性の変化は明らかではない.我々は喘鳴の原因として嚥下障害が考えられた症例における気道過敏性の推移を観察し得たので報告する.
症例1  1歳8ヶ月男児.嚥下造影検査で異常が認められた.液体を摂取するときに,増粘剤を使用し,喘息の治療としLTRA,ICSも併用した.7ヶ月後の嚥下造影検査では増粘剤の使用により誤嚥が予防できており,気道過敏性はRT-Ach 156μg/mlから2500μg/mlへと改善していた.
症例2 8ヶ月男児.造影検査で嚥下障害が認められた.喘息治療薬は使用せず増粘剤の使用で経過を観察した.12ヶ月後の嚥下造影検査では増粘剤の使用により誤嚥を予防できていた.気道過敏性は78μg/mlから625μg/mlに改善した.
結論 乳児喘鳴で嚥下障害が併存し気道過敏性が亢進している場合,増粘剤の使用で誤嚥を予防すると気道過敏性が改善する可能性が考えられた.
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© 2010 日本小児アレルギー学会
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