抄録
吸入療法は小児の気管支喘息の日常管理の対応手段として最も重要な位置を占めるに至っている.これは小児喘息が気道の慢性炎症であり,炎症のコントロールを治療目標として,吸入ステロイド(inhaled corticosteroid ; ICS)による日常管理が不可欠であるというコンセンサスを得たことが大きい要因となっている.しかしながら,小児,特に乳幼児にとって吸入療法を効果的におこなうには吸入器具および補助器具を用いた手技の習得が重要となる.小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2008(Japanese Pediatric Guideline for Asthma Treatment and Management 2008 ; JPGL2008) では小児に対して適切でかつ効率的な吸入療法が実施できるように,“小児気管支喘息における吸入機器とその使い方”の項(第10章)を設けた.本稿では,第10章について概説するとともに内容を補完した.