日本小児アレルギー学会誌
Online ISSN : 1882-2738
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原著
乳幼児用 Japanese Pediatric Asthma Control Program(乳幼児用JPAC)の有用性に関する検討
西牟田 敏之佐藤 一樹渡邊 博子関根 邦夫黒崎 知道青柳 正彦佐藤 好範星岡 明
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2010 年 24 巻 5 号 p. 741-752

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抄録

[目的]JPACを基盤にして,喘息重症度とコントロール状態の両方が判定できる乳幼児用JPACを作成し,有用性を検討した.
[方法]6医療機関を受診中の5ヵ月~4歳未満の喘息患者167例を対象に,乳幼児用JPACを実施した.乳幼児用JPACの点数と重症度の関係よりコントロール評価を検討した.5~19歳の225例を対象に有用性が検証されている既報のJPACと乳幼児JPACについて,重症度とコントロール点数が同様な傾向を示すかについて,乳幼児用JPACおよびJPACの点数を目的変数とし,年齢層と重症度,および年齢層と重症度の交互作用を要因とした重回帰分析を用いて検討した.
[結果]見かけの重症度が上昇するに従って,乳幼児用JPAC点数が減少する傾向は有意であった(Jonckheere-Terpstra検定; p<0.0001).4歳以上を対象とした既報のJPACと今回の乳幼児用JPACでは回帰係数(直線の傾き)に差を認めず,同様な傾向を示すことが証明された.
[結語]乳幼児用JPACは,乳幼児期の喘息の重症度とコントロール状態を判断するツールとして適しており,JPAC同様,ガイドラインに沿った治療管理の普及のために有用であると考えられた.

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© 2010 日本小児アレルギー学会
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