日本小児アレルギー学会誌
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第47回日本小児アレルギー学会シンポジウム6 アレルゲンとしての食品
食物アレルゲンをいかに解析するか―基礎と臨床の連携による食物アレルギー治療へ向けたアプローチ―
板垣 康治
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ジャーナル 認証あり

2011 年 25 巻 1 号 p. 32-35

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抄録

食物アレルゲンの検査は,原因物質を食品レベルで明らかにすることが一般的であるが,個々の食品に含まれている複数のタンパク質がアレルゲンとなっていること,さらに,タンパク質の性質は多様であることを考えると,タンパク質レベルで解析することが,治療や予防,アレルゲンの低減などに対して有効である.食品中に含まれるアレルゲンを正確に解析するためには,様々な食品に対する十分な知識と経験が必要となる.
現在,血液検査によるアレルゲン解析の結果と実際の臨床的な症状の有無との間で乖離が見られ,問題となることがあるが,アレルゲンとなるタンパク質の性質にあわせて食品からの抽出法を変えることにより,通常では陰性として見落とされるようなアレルゲンをも解析することができることがある.
本稿では,自験例を中心に食品中のアレルゲン解析法と,治療・予防への応用について概説するとともに,より安全で患者への負担が少ない免疫療法への利用が期待される次世代の治療食開発を目指した食物アレルゲンの低減法についても紹介する.

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© 2011 日本小児アレルギー学会
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