抄録
最近の出生コホート研究により気管支喘息の発症を修飾する因子として,乳幼児期の喘鳴を伴う下気道感染とアレルギー感作が相乗的に作用する可能性が示唆されている.増悪因子としても,ウイルス感染とアレルゲン曝露が相互に影響を及ぼすことが指摘されている.現在,その相互作用の機序を解明するためにGene-environmental interactionやEpigeneticsな面からの検討が盛んになされている.今後,気道上皮障害をもたらすウイルス,特にライノウイルスの気道からの排除機構を解明することにより喘息発症および増悪を回避できる可能性があり,益々の研究がなされることが期待される.