抄録
新生児・乳児消化管アレルギーは,近年の症例集積研究による病態解析や診断指針の標準化により,小児・新生児医療従事者間で広く認識されるようになった.しかしながら,新生児医療の現場においては消化管アレルギーが疑われる新生児に対する診断を目的とした経口負荷試験は敬遠される傾向にあり,現状では原因と考えられるミルクの中止によって症状が消失したこと(=除去試験陽性)や食物抗原特異的リンパ球刺激試験や便粘液中好酸球など補助診断検査の結果だけを診断根拠としていることも多い.本稿では厚生労働科学研究班による全国調査ならびに新生児科医を対象とした意識調査の結果をもとに,新生児医療の現場における消化管アレルギーの診療の現状について考察する.