抄録
【目的】新しい特異的IgE検査法であるアラスタット3gAllergyの臨床的意義を明らかにするため,イムノキャップ®による測定値と比較検討した.
【方法】対象は反復喘鳴を呈した乳幼児コホート93名(登録時6ヶ月~2才未満で2年間経過観察)で,アラスタット3gAllergy(測定範囲:0.1~500 IUA/mL)およびイムノキャップ®(測定範囲:0.35~100 UA/mL)の両法により,ヤケヒョウヒダニ(Dp),スギ花粉(JCP),卵白(EW),牛乳(M),小麦(W)に対する特異的IgEを測定した.
【結果】両法による測定値は有意な高い相関を示し,Spearman相関係数はそれぞれDp(0.95),JCP(0.94),EW(0.93),M(0.85),W(0.93)であった.両検査法は一定の互換性があると考えられるが,測定値に乖離がみられる検体もあった.さらに2法を比較すると,アラスタット3gAllergyはDp, JCP, EWでイムノキャップ®よりも高い値をとり,測定値は広い分布幅を示した.Mは低値域ではアラスタット3gAllergyがイムノキャップ®より低いが,高値域では高い値をとった.Wはアラスタット3gAllergyがイムノキャップ®よりも全般的に低い値を示した.測定感度以上の陽性検体の比率はWにおいては同等で,その他はアラスタット3gAllergyがイムノキャップ®より高い傾向にあり,とくにEW, Mで有意であった.
【結語】アラスタット3gAllergy測定値はイムノキャップ®測定値と高い相関をもつが,同一の値を示すことはないので,ぞれぞれの検査法の特徴をよく理解して利用することが重要である.アラスタット3gAllergyにおける高感度,ワイドレンジの特徴がアレルゲン感作の早期診断や臨床経過モニタリングに有用であるか,今後検証する必要がある.