抄録
食物アレルギー診療ガイドラインは食物アレルギーによる疾病,疫学,メカニズム,アレルゲンなどの基礎知識に加えて,より正確な診断,必要最小限の食品除去,食品除去解除に至るまでの一連の診療プロセスをEBMに基づいて記載したものである.食物アレルギーの診療では患者や保護者に正しい関わりをしてもらうための教育や指導が不可欠であり,また個々の患者や保護者ごとに生じている問題点やその解決には問題点への理解と共有化が必要である.同時に,それらを看護師や栄養士などの医療スタッフと共有することも重要である.食物アレルギー児と関わるすべての人たちに正しい情報を提供し,適切な関わりができるための教育や指導および共有化は各章ごとに必要であるが,本ガイドラインではこれらを独立して本章にまとめ,保護者が納得しかつ理解でき,共有化を円滑に図れるためのアドバイスとして総論的にまとめたものである.本稿ではこれを補足する形で解説する.