抄録
ナッツ類は食物アレルギーの重要な原因食品の一つである.小児期から発症することが多く,耐性を獲得しにくい.そして,そのアレルギー症状は重篤なことが多い.近年,食物アレルギーについて,粗抗原に含まれる個々のアレルゲン(アレルゲンコンポーネント)と臨床症状との関係について解析が進んできている.ナッツ類についても,臨床症状や交差反応性についてコンポーネントレベルで理解していくことが,これからの臨床診断や治療のために必須となるであろう.本稿では,ナッツ類のアレルゲンコンポーネントとして重要な種子貯蔵タンパク質について概説するとともに,それらの分子構造および類似性について解説したい.