2017 年 31 巻 1 号 p. 33-37
エンテロウイルスD68は, ピコルナウイルス科エンテロウイルス属のエンベロープをもたないRNAウイルスである. その感染症は夏から秋に流行し, 上気道炎症状のみならず, 下気道炎症状や喘息も惹起する.
日本では2015年9月, 同ウイルスの流行が確認された時期に一致して, 喘息発作, 重症呼吸器疾患, 急性弛緩性麻痺が多発した. 日本小児アレルギー学会の調査により, 同ウイルスが喘息発作のエピデミックを起こす重要なウイルスであることが明らかになった.
この知見からアレルギー学, 感染症学の両者の進歩に寄与する研究へと発展することが期待される.