日本小児アレルギー学会誌
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シンポジウム5 食物依存性運動誘発アナフィラキシーの診断を考える
食物依存性運動誘発アナフィラキシーの診療~その現状と課題~
相原 雄幸
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2017 年 31 巻 1 号 p. 38-45

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抄録

 食物依存性運動誘発アナフィラキシー (FDEIA) は, 疫学調査結果からは有症率の増加はない. 認知度は向上したが逆に過剰に診断されている症例も少なくない. 近年, 重症食物アレルギー患者に対して経口免疫療法が導入され脱感作到達例も増加し, 当該食物摂取後の運動負荷によりアナフィラキシーを発症する事例 (secondary FDEIA) の増加が問題となってきている. これらの背景もあり, 「食物アレルギー診療ガイドライン2016」ではFDEIAの定義が一部改訂された. 今後の課題は, 正しい知識の普及により過剰診断を防ぐこと, 誘発試験の改善により陽性率をさらに高めること, 患者教育を徹底し再発症を防ぐこと, 発症防止薬を確立することなどがあげられる.

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© 2017 日本小児アレルギー学会
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