【研究目的】東京都の保育施設等における園児・児童のアレルギー疾患の罹患状況や施設内体制を調査し, 今後のアレルギー疾患対策の課題を明らかにする.
【対象と方法】2014年9月に東京都内の全保育施設と幼稚園, 合計7,405施設を対象に, 無記名による自記式調査票を郵便にて配布・回収した.
【結果】5,348施設から回答を得た (回収率72.2%). 食物アレルギー罹患率は6.3%, 気管支喘息3.6%, アトピー性皮膚炎2.9%, アレルギー性鼻炎2.3%, アレルギー性結膜炎0.9%, アナフィラキシー0.6%であった. 食物アレルギーを有する児は保育施設全体の80.5%に在籍していた. 施設内での食物アレルギー症状の発症を経験している施設は19.0%で, 発生原因は初発64.9% (658施設), 誤食34.1% (346施設) であった.
【結論】2009年に東京都が実施した施設調査に比べ, 食物アレルギー, アレルギー性鼻炎, アレルギー性結膜炎, アナフィラキシーは増加していた. 食物アレルギー対応としては, 生活管理指導表の提出の必須化, 施設での初めての摂食がないようにすること, 誤食を起こした原因究明と喫食時の適切なマニュアル作成が必要である.