日本小児アレルギー学会誌
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原著
牛乳の少量食物経口負荷試験で重篤な症状を誘発する危険因子についての検討
河原 隆浩増本 夏子手塚 純一郎
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2018 年 32 巻 4 号 p. 647-653

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抄録

 【背景】食物経口負荷試験 (OFC) は, 少量摂取でもアナフィラキシー (An) を起こすことがあるため, 重篤な症状を誘発するハイリスク児を事前に予測できることが望ましい.

 【目的】牛乳の少量OFCで重篤な症状を誘発する危険因子を明らかにする.

 【方法】2011~2016年までに, 牛乳の少量OFC (目標摂取量 : 5ml以下) を施行した児を対象とした. OFCの結果を中等症~重症, 陰性~軽症に分類し, 患者背景 (月齢, 総負荷量, 気管支喘息〔BA〕, アトピー性皮膚炎の合併, 多種抗原への感作の有無, 牛乳Anの既往, 皮膚症状以外の即時型症状の誘発歴, BAの家族歴, An発症時期とOFC施行までの期間), 牛乳特異的IgE値, 総IgE値を診療録より後方視的に検討した.

 【結果】牛乳のAn既往, BAの合併, BAの家族歴は, 中等症~重症な症状を誘発する危険因子であった.

 【結語】牛乳のAnの既往, BAの合併またはBAの家族歴のある児に牛乳の少量OFCを行う際は, 十分な体制下でOFCを行うことが望ましい.

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© 2018 日本小児アレルギー学会
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