2018 年 32 巻 4 号 p. 666-673
【目的】高知県内の小児気管支喘息による入院の推移を調査するとともに, 発作誘発因子としてのウイルスについても検討する.
【方法】高知県の入院可能なおもな小児医療機関に, 喘息発作 (喘息性気管支炎を含む) で入院した20歳未満の患者を対象とした. 2005年, および2010~2015年の各施設の喘息発作 (喘息性気管支炎の病名を含む) による入院患者数, それぞれの入院月, 性別, 年齢層, 呼吸補助を要する強い発作の有無, ウイルス検索の結果を後方視的に調査した.
【結果】喘息入院数は徐々に減少していた. 2015年の月別入院数は9月, 10月に大きなピークを認め, 前年同月の約2倍であった. 高知大学での2012~2015年のウイルス学的検討では3歳以上で55.0%, 3歳未満では44.3%にヒトライノウイルスが検出された.
【結語】重症喘息発作の誘発因子探索として感染症サーベイランスを行うことは, 早期にその増悪因子の流行を察知し喘息患者への予防的対応がとれる可能性がある.