日本小児アレルギー学会誌
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解説:アレルゲン
動物
西田 豊
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2020 年 34 巻 2 号 p. 264-270

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抄録

室内でのイヌやネコなどペット飼育の増加に伴い,動物アレルゲンによるアレルギー疾患は増加している.ペット以外にマウスやハムスターなどの実験動物によるアレルギーも報告されている.毛皮動物の主要アレルゲンの多くはリポカリンタンパク質ファミリーに属しており,交差反応性を示すものもある.アレルゲンは動物の尿や唾液中に存在し,動物の毛や皮屑に付着,屋内に拡散し,人間の服などに付着してさまざまな場所に運ばれる.また空中に浮遊して長時間残存しうる.これらのアレルゲンには気道を介して感作され,気管支喘息やアレルギー性鼻炎の原因となることが多い.実験動物のアレルゲンには咬傷によるアナフィラキシーの報告も多い.多くの動物のアレルゲンコンポーネントが同定されており,イヌアレルゲンCan f 1とネコアレルゲンFel d 1はそれぞれの動物アレルギーの診断に有用であることが報告されている.アレルゲンの回避が最適な治療と考えられるが,現実的には難しいことが多く,免疫療法などの治療法の開発が期待される.

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© 2020 日本小児アレルギー学会
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