日本小児アレルギー学会誌
Online ISSN : 1882-2738
Print ISSN : 0914-2649
ISSN-L : 0914-2649
総説
COVID-19と小児気管支喘息
遠隔医療のための人工知能を搭載した喘鳴自動判別機器
土生川 千珠
著者情報
ジャーナル 認証あり

2021 年 35 巻 3 号 p. 239-247

詳細
抄録

COVID-19によるパンデミックは小児アレルギー疾患の診療に影響を及ぼし,遠隔医療の必要性がより重要となった.遠隔医療では,医師が直接聴診することはできないため,迅速かつ正確に喘鳴を検出できる在宅医療機器が必須であるが,現在は皆無である.

私達は2003年から気管支喘息の肺音解析を行い,在宅用喘鳴自動検出器の開発に成功した.ハンディータイプのデバイスで,マイクを右前胸部に接着させ,安静呼吸で30秒間録音する.喘鳴が記録されると光が点灯する.喘鳴音の定義に基づいたアルゴリズムを搭載し,声,心音や環境雑音を高精度にノイズキャンセリングできる.本アルゴリズムは,日本,米国,中国で検証され高精度の結果を得た.2020年,イギリスとEU 28か国で医療機器承認後,市販している.現在は,米国と中国で薬事申請中であり,日本のPMDAへも申請準備中である.本デバイスを遠隔医療に応用することで,乳幼児や思春期の今まで見過ごされた発作を検出することができ,喘息の長期予後の改善に大きく貢献できることを願う.

著者関連情報
© 2021 日本小児アレルギー学会
前の記事 次の記事
feedback
Top