COVID-19によるパンデミックは小児アレルギー疾患の診療に影響を及ぼし,遠隔医療の必要性がより重要となった.遠隔医療では,医師が直接聴診することはできないため,迅速かつ正確に喘鳴を検出できる在宅医療機器が必須であるが,現在は皆無である.
私達は2003年から気管支喘息の肺音解析を行い,在宅用喘鳴自動検出器の開発に成功した.ハンディータイプのデバイスで,マイクを右前胸部に接着させ,安静呼吸で30秒間録音する.喘鳴が記録されると光が点灯する.喘鳴音の定義に基づいたアルゴリズムを搭載し,声,心音や環境雑音を高精度にノイズキャンセリングできる.本アルゴリズムは,日本,米国,中国で検証され高精度の結果を得た.2020年,イギリスとEU 28か国で医療機器承認後,市販している.現在は,米国と中国で薬事申請中であり,日本のPMDAへも申請準備中である.本デバイスを遠隔医療に応用することで,乳幼児や思春期の今まで見過ごされた発作を検出することができ,喘息の長期予後の改善に大きく貢献できることを願う.